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マイク一本から始めよう。 〜ブループロジェクト 30周年記念ヒストリー〜

 著者 葛西敏明

episode 2-2

9、もっと上へ

 

「葛西さんの携帯ですか?」

未登録の電話番号が、知らない女性の声を聞かせてくれた。

 その女性は 島田と名乗っていた、先日の島田彩子さんのお母様らしい、どうも控え室に迎えてくれた女性の様だ。帰る間際に呼び止められて名刺を交換してたのだが、本番の興奮ですっかり忘れていた。

 

 電話の翌週、横浜へと機材を乗せた車を、大塚と2人走らせていた。

 会場は、まっすぐ伸びる商店街のレコード屋さんの入り口だった。いわゆる、みかん箱営業である。実際みかん箱の上で歌うわけでは無いが、1人乗りの台が店の前にポンと置かれ店にあるポータブルスピーカーで歌唱をして、集まったお客さんにCDを即売すると言うものらしい。

 

 通常は店の店頭(外)に人が一人上がれる程度の高さ30センチくらいの箱が置かれる、通常はその脇にレコード店が持っているポータブルスピーカーアンプにマイクを繋いで歌うわけだが、やはりこれがかなり簡易で音が歪んだり、マイクコードが接触不良でバツバツいったりする。

 しかし 少し売れてくるとメーカーが予算を出して簡易な音響を持ち込めるようになる、それが今回の内容のようだ。と言っても状況は変わりなく 狭い店頭の角にミキサーを置いてスタンド式スピーカーを持ち込むのが精一杯なところだ。

 

 俺は、何度かそんな仕事をしていたから全く気にもしていないが大塚は初めての様だ、彼はこの5年 大物若大将歌手のツアーに参加していて、2年前からはモニターオペレーターとして仕事をしていた。

 

 現在あの時のメンバーは、大塚と俺の2人だけになってしまっていた。まず浅利から始まった、結婚をすると言い残し、二回目の文化祭の前に急に京都に行ってしまった。

 さらに翌年、成島もフリーに転身。蓮池は昨年、お世話になっていた照明カンパニーの社長が身体を壊したのを少しでも手伝いたいとその会社に就職した。

 ほかの3人は、実らない結果にけじめをつける様に次々と離れていった。

 

 その中で大塚は、俺がもといた会社のツアー仕事に呼ばれる様になり、大きな仕事をさせてもらっている、俺はといえばブルーの小さな仕事を中心にオペレーターの技術を自己流で磨いていっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 1回目のみかん箱営業は大成功に終わった、彼女が歌うと歩いている人が立ち止まる。立ち止まった人は動けなくなり、また通りすがった人も立ち止まる、いつも間にか通路は通れないくらいの人垣になっていた。拍手喝采とCDが店の記録を更新したらしい。

端組まれた音響席からは奥が見えないほどの人混みと熱気が伝わってきていた。

 

 少し空いた時間に喫茶店で一緒にコーヒーを飲んだ、商店街の二階の店からはさっきまでいたレコード店の入り口が見える、こちらの変な緊張を察して、少しずつ話しをしてくれた彩子さんと、その姿を嬉しそうに見ているお母様(ママ)がいた。

 

 「この子はもっと上へ上へ行くたい、あんたも一緒に上へ行く気があると?」熊本弁のママが真剣な眼差しで、俺の目を確認する。

みかん箱から一年、最近はホールコンサートも月に数回行える様になっていた。

 ママの深い眼底から目を離さないつもりでも一瞬戸惑った、正直俺は音響をずっとはやりたくなかった、飽きやすい性格なのか同じ歌い手さんの仕事は何度か続くとだらけてしまう。

 

 イベント制作も幾つか経験して、どうも制作の方が性に合っている様だ、人に指図されるのが大嫌いで、人に指図するのが大好き、指摘されるのが嫌いで、褒められるのが大好きらしい。

 でもこれは 決定的なチャンス、来年から全国ホールコンサートツアーにすると言うのだ。

悟られまいと、決心した振りをして目線を返した。

「僕にやらせてください、日本で一番のコンサートを作りたいです」

ママと初めて握手をした。暖かい手が自分の母と重なった、自分が2人になった様だった。

 

 

 ストンと、身体が一瞬浮いて落ちた。思わずお互いの洋服をギュッと引っ張る、また二回三回とフワッとストンが繰り返される。

 何度考えてもこの鉄の塊が宙に浮いてるのが納得がいかない、一年でハワイに行ける程マイルが貯まると言うのに、俺たちは飛行機の振動の度に飛び上がり、緊急着陸のポーズは誰よりも上手になっていた。

 

                              年間100本のコンサートをして、さらに月に数回のカラオケゲスト

                             など、彩子さんの現場は年々増えて行った。北は北海道 南は九州と

                             津々浦々、一年の半分以上はビジネスホテル暮らしになっていた。

                              事務所は、家族のようにアットホームな個人事務所で、社長はママ

                             さんだけど、現場の仕切りは怒らなければ人の良い田中さんが切り盛

                             りしていた。田中さんは味方にいればとても頼りになる兄貴の様な存

                             在で、アイデアマンで決断も早い。

 

 

 良くママと怒鳴りあって喧嘩をしていたが、俺も大塚とは同じ様な時があるからあまり気にはならない。コンサートは 俺が単発現場から入って、徐々に仲間を引き寄せた。

 舞台監督は 叔父のガクさん 照明は蓮池、この頃はモニターオペに大塚、ステージマンは毛むくじゃらの中居だった。

 

 ツアーはママを中心に、ファミリーの様な雰囲気に溢れていた、どこに行っても満員御礼、お客は彩子さんの歌声に驚き、終演の緞帳が締まると お客がこぞってすごい歌声だ、感動したと言いながら会館を後にする、まるで自分の兄弟が褒められている様にとてもその時間が嬉しかった。

 

 

 

 

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2020年4月10日

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